当協会は、2人の"LIVING DIAMONDS" Mr. Göbel  と Mr. Irie  により公認された DISCUS GROUP です。
Mr. Irie には、協会の名称を決議する時に1票を投じて頂きました。また、Mr. Göbel には、協会運営サイトのサイト名命名にご尽力頂きました。
当協会は、今後も、LIVING DIAMONDS の強力なバックアップを仰ぎながら、ゲーベルディスカスならではの伝承の物語を会員の皆様と楽しんでいきたいと思っております!


リビングダイヤモンド


≪JGSへのメッセージ≫
1966年、今から30年ほど前のことになるが、私の水槽に初めて小さなディスカスが泳いでいた。私が近くの店で買い求めたものだ。
当時の私は余暇のすべてをその魚の育成と管理にそそぎ込んだ。今だって、初めてこの美しい魚を手に入れた若いアクアリストならば、大抵の人が同じようなことになるだろう。
一年程たつうちに、私のディスカスはぐんぐん成長し、性的に成熟して、2匹のペアになるのを確認した。そこで用心深く他の魚をとりだして、陶製の産卵筒を中に入れた。
当時の私は暇さえあればディスカスのつがいが卵を保護したり、稚魚を監視したりすることを観察していたものだ。
私は、いつもアクアリウムの前に座って、何時間もディスカスを観察したり、ディスカスの飼育方法について考えたり、ディスカスの夢に耽ったりしていた。それはいつも健康で体型の整った、輝くほどの色彩をしたディスカスの夢、究極のディスカスの夢だった。
ロイヤルブルーの野生種は、私の夢に近い要素を備えていたのだが、当時はまだ数が少なく、販売されていたものは、私にとっては法外に高価だった。
そこで、取るべき道はひとつしかなかった。私は、ディスカスを交配し、稚魚を選別することを通じて、私の夢のディスカスが現れるのを待つことにしたのだ。

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今日、28年がたって、私自身についていえば部分的には進歩してきているのだが、ディスカスに関する研究は私の目標とした所まではまだ到達していない。
飼育をはじめるとまず、「時間がかかる」という問題に直面することになる。問題が発生した時は、飼育環境と野生環境とを一致させてみることが問題解決の糸口を見出すためのよい方法だからである。

もちろん、人は間違いをおかすものなので、ディスカスの飼育方法が、しばしば後戻りをしてしまうこともある。そして、その失敗を発見し、取り除くのにも長い時間が必要なのである。
ここで憂慮されるべきことは、しばし失敗をおかしていても、早々と一定の成果が出てしまうことである。あまりに早く成果が出てしまうと、人はしばし袋小路にひきこまれてしまう。
そして、多くのアクアリストがディスカスの飼育において、質のことを考えないで若いディスカスをたくさん生産し、高く売ることばかりを求める安易な方向にはしるのである。
しかし、それはディスカス飼育の本当の目的ではないし、そのような方法は「飼育」とすら呼ぶことができない。
明確な目標とはっきりした基準を得た場合にのみ、人は目的に至る道を見いだすものなのだ。
その道はいつも平坦なものとは限らず、多くは困難にもでくわすだろうが、経験豊かなアクアリストならば、だからこそディスカスを飼育したいと思うようになるのだろう。
ディスカスの飼育をはじめた人が、すぐさま経験する問題は、―それが最も大きな問題でもあるのだが― 近親交配の弊害である。
この世界に足を踏み入れる人が手に入れる若いディスカスの多くは、同じ親から生まれたものである。それら兄弟姉妹はやがて性的に成熟し、ペアをつくり、最初の子魚が生まれるだろう。
問 題は、さしあたり、すぐには認められないかもしれない。しかしその仔、またその仔と2回、3回と交配を繰り返すうちに明らかな欠陥が見いだされたり、その 仔が、少しも成長しないということがわかってくる。そうしてようやくその飼育者は用心深くなることを学ぶのである。ほかの血統の血を入れることによって、 最悪の事態は回避できる。しかし、それは多くの手間と出費を伴うものなのである。
はじめのうちから、同時に様々な種類を育ててそれを交配し、近親交配を避けるように心がけるべきなのだ。
ある程度の経験をつんだ人ならば、飼育する系統のバラエティを豊かにすることによって近親交配の危険性をほとんど完全に排除することができるだろう。

血統のよい犬を育てている人たちも、高価な馬を増やしている人たちも、近親交配は行わないものだ。それをしないと決めてしまうことが、目標への早道なのである。
混乱しやすい魚の系統をはっきりさせるために、カード式の目録を作っておくとよい。各々のカードには、その魚の両親や飼育の記録や目立った特徴や病歴や取扱い方を書き込んでおく。写真も貼りつけておけば、飼育者の手間は大いに軽減されるだろう。(注)
これは、時間と手間とを必要とする金のかかる作業である。
しかし、時がたつにつれて、その魚の特徴をみれば、どの系統なのか選別できるようになるものだ。それができれば、その魚が持っている遺伝的要素のうち、どれが固定すべき良い因子なのか、どれを取り除くべき好ましくない因子なのかを判断することが可能になるだろう。
系統のはっきりした2匹の魚を交配させた場合は、その仔の少なくとも一部は性的に成熟するまで育てあげなくてはならない。その交配の結果を判断することができるように、さらに他のペアから生まれた稚魚と混ぜてしまうことがないようにするためである。
また新しい個体を手に入れた場合も、その交配には慎重さが必要とされる。
よそから得た飼育品種の稚魚も、野生種と同様に、それがどんな遺伝的形質をもっているかを見いだし、手元にいる系統の形質と調和するかどうかを判断するために、しばらくの間観察しなくてはならない。
いずれの交配から得られた場合でも、その稚魚は性的に成熟するまで飼育観察して、その交配が成功だったのか失敗だったのかを、きちんと評価しておくべきである。

もちろんこのようなことをするためには、大がかりな装置も必要だし、あるいは飼育の助けとなる信頼できる友人も必要だろう。
ディスカス飼育に従事している人は、必要な出費の額がすぐに大きなものになってしまうので、アマチュアアクアリストとしての限界を乗り越えたいと考えている。
信頼性のある人と共同で飼育プログラムを作ることは、おおいに仕事の助けになるものである。

情報カードをこのように目録作りに活用することが欧米では盛んである。カードは文房具店で手に入るが、今日の日本ではパソコンを使って似たようなものを作ることも可能だろう。
飼育プログラムの最終目標は、共同で達成できる小さな目標の積み重ねの上に置かれねばならない。
いずれにせよ、役にたちそうな個体と、その主要な遺伝的特徴は、中間目標として重要な意味を持っている。
体型はよいが、発色はそれほどでもない個体を持っている人は、新しい交配と選別によってよりよいものが得られるように試みるとよい。
色は申し分ないが、体型が良くない場合には、飼育法を改善することによって、その欠点を改善すべきだ。
ディスカス飼育の手はじめには、体色をよくすることが一番の目的となる。自分の時間をディスカスの体型を改良するために費やすようになるのは、もう少し後になってのことだ。
体型を整えることは2番目の目標である。
ディスカスの抵抗力を高め、病気にかからないようにすることはその次の目標で、自覚を持った飼育者ならば、そういう魚を作りたいと思うだろう。
飼育のための仕事とならんで、魚が原産地でどのような状況にあるかを知ることも飼育者にとって重要なことである。
まじめに飼育に取り組んでいる人々のおかげで、水質の選択やフィルターの使い方、水質管理、エサの問題など、多くの情報を我々は手に入れることができた。
多くの問題があるにもかかわらず、ディスカスを飼育することは、世界中の責任感あるアクアリストにとって魅力的な課題である。
彼らの努力のおかげで、完璧なディスカスを水槽に泳がせるという目標はもはや夢にとどまるものではなくなりつつある。



*上記ゲーベル氏のメッセージは、DISCUS YEAR BOOK ’93-‘94(FAIR WIND CO.,Ltd. 松坂實氏)に掲載された『ディスカス飼育に関する考察 by Manfred Göbel』という記事になります。
この記事本文をLiving Diamonds両名からJGSに贈るメッセージとして頂きました!